新薬の開拓

猫の命を救いたい。
未承認の治療薬を承認薬へ

「猫の命を救いたい」。その一心で、世界中の動物用医薬品や医療機器、サプリメント等を絶えずリサーチしています。そこで少しでも可能性を見いだせれば躊躇せずに輸入し、獣医師が実際に手に取り、内容や効果を確認しています。しかし、たとえ良い薬が見つかっても、それらが国内で使用できる動物用医薬品として承認を得られるまでに、膨大な時間や費用がかかるだけでなく、大きなハードルを越えなければなりません。しかし私たちは決して諦めません。猫たちの命を救うため、これからもベストな解決策を常に模索し続けていきます。

現在、新薬として導入の可能性を探っている未承認薬には、次のものがあります。

・猫ウイルス感染症診断薬
・猫ウイルス感染症治療薬
・猫循環器疾患治療薬

中でも、FIP(猫伝染性腹膜炎)に対する未承認治療薬のCFN(シーエフエヌ)は治療実績も多数あり、治癒率95%以上と、めざましい成果をあげています。FIPの未承認治療薬として使われてきたMUTIAN(ムティアン)が使用できなくなった現在、いくつかの薬剤(レムデシビル 、モルヌピラビルなど)がFIPの治療薬として使用されていますが、治癒率や再発率の点から、CFNが一番効果的ではないかと感じています。

また、FIPの発症を防ぐ未承認の予防薬にも多くの使用実績があります。一度FIPを発症すると治療費が非常に高額になることから、ねこけん動物病院練馬診療所では、2匹以上猫を飼われている方にFIPの予防薬の使用をお勧めしています。また、ねこけんでは、一部のボランティアさんが譲渡前の保護猫の多くに予防薬(※)を投与しており、これらの動きはねこけんのシェルターの保護猫たちにも広がりつつあります。
※耐性の問題から、CFNと予防薬の主成分は違うものを使用しています

その他にも、現在大きな期待を込めてトライアルを行っている未承認薬の一つに、猫カリシウイルス(FCV)の治療薬があります。

猫カリシウイルスは、舌、口の上部(口蓋)、眼(結膜)、鼻から肺までの気道の粘膜で増殖し、特に難治性口内炎と深い関連性があります。感染すると涙、くしゃみ、発熱といった風邪に似た症状が現れ、症状が進行するにつれて元気や食欲が低下し、最終的には肺炎を併発することもある危険なウイルスです。

そのため少しでも多くトライアルを実施し、成果の検証を行っていきたいと考えています。

TOP